今迄作られて来た全てのアンプに完全無欠なものはありません。オーディオ誌の表紙を飾っている高価なアンプでも、多くの問題を抱えていると考えても間違いないと思っています。音のエジソン（Miyajima Lab）では良いアンプには良い増幅素子が必要である事を云い続け、真空管アンプを進めて来ました。一般的な真空管アンプは、シングルかプッシュプルアンプです。シングルやプッシュプルにも回路に多くの種類があり、多彩な音があります。良い回路を使用し、部品（特にトランスや真空管）に費用をかければ良い方の音になる事は間違いありません。真空管を使用した事の良さとしては認めることが出来ますが、真空管の実力を全て発揮させる事は出来ません。それは最高のものであっても、少なくとも出力段にトランスを使用するからです。これらのアンプは真空管自体が超ハイファイであってもトランスで大きな影響を受けるのです。出力段の増幅は真空管とトランスが共同で増幅と信号変換する為に、動作に大きな疑問を残したままになっています。難しい説明の為省略しますが、真空管アンプでなく真空管トランスアンプと言うことが適切だと思います。しかし、これらのアンプが動作的に間違ってはいない事を付け加えておきます。
　それではどうしたら「本当の真空管アンプ」 ができるのかと申しますと、真空管とトランスを切り離し動作させるBTLアンプか、真空管のみで信号系統を増幅させるOTLアンプであれば可能になります。ここでは特にOTLアンプの事を取り上げることにします。何故ならば、真空管のみでアンプを作るとしたら、電子スピードが素晴らしく、広帯域に渡って位相問題がなく、理想のアンプが設計出来ます。その可能性を秘めたものが出力トランスを使用しないで真空管のみで構成するＯＴＬアンプなのです。
そうは言っても良いＯＴＬアンプを作る難しさは並大抵のものではありません。真空管の動作に大きな問題があり、製作上に電源の難しさが存在します。安易に設計すると多くのＮＦＢが必要となり、トラブルも発生します。測定上は立派なものですがトランスを使用したアンプに試聴感上劣ってしまいます。多くのメーカーさんの挑戦がありましたが、音質や耐久性を含め、また高価であったため持続しなかったのです。
MODEL1010やMODEL2020は、高能率のスピーカーに限定することにより、音質や耐久性や価格の問題を解決出来たと思っています。小出力であってもパワー感は大出力アンプに劣りません。高能率のスピーカーは振動板が軽く小さな電力でも動き易く、細かい音の表現力が豊かです。MODEL1010やMODEL2020に良く適合すると思います。またスピーカーの特性は限界付近のインピーダンスが上昇するため、一般のアンプではアンプの出力が下がり、特性が劣化しますが、MODEL1010やMODEL2020ではインピーダンスが上昇すると出力が上がるため、特性が改善される事になるのです。スピーカーの周波数特性を広く感じます。測定では難しい位相歪みや動作の非直線性の歪みが殆んど発生せず、聴感上の癖や歪みを感じなくなります。生演奏の再現を望まれる方には大きく貢献するものと思います。
出力管はアメリカ製の安定した種類の同ロット球で選別したものを使用しています。万一の為の予備球は十分に保管していますのでご安心ください。